午後、暗雲ののち突如雷鳴、大粒の雨。
あっと言う間に止んで、見わたす限りの青空、あたりは琥珀色の光に包まれた。
塗れたアスファルトが、なんとも言えない淡い色に光った。
その道を走っているだけで、気持ちが洗われるようだった。
「あ、ごほうびだ」と呟いた。
よしもとばななさんの「体は全部知っている」という小説の中に「黒いあげは」という短編がある。
深い悲しみがあり、人生の岐路にたったのちの主人公の前に、1羽のアゲハが舞う。
それを見た主人公が、その美しさに「あ、ちょっとしたごほうびだ」と言葉を漏らすシーンがある。
群馬に限らないが、自然の中に、まちの中に、
はっと息を飲むような美しさを見ることがある、そんな瞬間に遭遇することがある。
そんな時ぼくは、「あ、ごほうびだ」と呟き、小説の主人公の真似をする。