444声 杏の花

2009年03月19日

「気温は22度を超え」
と言う、ラジオニュースが流れて来た瞬間。
蒸し暑さが湧き出た。
前に一台、前方の信号は赤。
ボタンを押すと、運転席の窓が重たそうに開き、
温まったい微風が頬を撫でる。

青に変わって走り出す。
走り様、右前歩に見える公園。
ベンチに座っている、風体の暗い中年男。
背を丸めて、カップラーメンを食べている。
「どこでお湯、入れたんだろう」
と思った。
が直ぐに、ベンチの上に咲いている、
白い杏の花に目を奪われて、走り過ぎて、忘れた。