飲食店の扉を開けるとき、できることならば重くなりすぎた自分の尊厳を少しでも軽くしたいという思いがたぶんどこかにある。
だから店にとっては、お客さんの尊厳を預かる、くらいの気構えがないと、カウンターの内側は務まらない。
尊厳を一時的に預かってもらえるだけでどれだけ救われることか。
尊厳は、最後は自分で持っていないと意味がない。
だからそれはお客さんに返すことになるのだけれど、店側が返す方法は、まず、気持ちの入った料理なのだと思う。
その料理が気取り過ぎていたら、距離が開いてしまう。
料理は素朴がいい。
素朴に自分の尊厳を込めたとき、何か伝わる。

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