491声 瓶詰め野沢菜と旅の思い出

2009年05月05日

北国街道を上り、辿り着いたのは、信州上田の海野宿。
養蚕で栄えた宿場の街並みは、江戸、明治の風情を現代に伝えている。
舗装されていない往来の脇には、大きな木格子が特徴的な旅籠や、
軒先に風格ある卯建が張り出した商家などが並ぶ。
店先には、石垣の用水路に清流が流れ、隔てて並ぶ街路灯と柳並木が、
宿場時代を演出している。

一軒の硝子細工の商家へ入った。
一階が硝子細工、二階が茶屋の商い。
硝子細工は裏手に在る工房で、茶屋の食器も硝子細工で統一。
古民家を改装し、再活用させるのもまた、文化になって行く。
主人に伺うと、養蚕農家が多かった海野宿の中でも、
この民家は養蚕をやっていなかったので、劣化が少なく残されていたとの事。
なんでも、養蚕業の行程で使う火が、屋根裏を煤けさせてしまうらしい。
養蚕業が盛んだった上州との共通点。
殖産興業華やかなりし、明治時代の活気に想いを馳せる。

宿場を後に、小諸、佐久、碓氷峠を越えて、帰郷。
野沢菜と麦酒で一杯やりつつ、雨降りの夜半に記す。