511声 親父の新車 前編

2009年05月25日

最近、「エコカー商戦」関連の記事を、良く雑誌などで目にする。
この商戦激化への口火を切ったのは、
5月18日にトヨタ自動車が発売したハイブリッド自動車の「プリウス」である。
ハイブリッド自動車の先駆車であり、代表車種である「プリウス」を、
約6年ぶりに全面改良して発売したのだ。
これによって、ホンダ自動車が既に発売し好調な売れ行きを見せている、
ハイブリット自動車の「インサイト」と、直接対決の様相を呈している。

歳のせいか、などと言うと、また自らの若年寄り気質を露呈する様だが、
どうも私の目には、近未来の話題の様に映る。
つまりは、車に執着の無い私には、いまいち現実を感じさせない。

しかし、思い起こしてみると、子供時分の私は、自動車が大好きだったのだ。
子供に在りがちな、「乗り物好き」ではあったが、
周りの子供の中でも群を抜いて、自動車の車種を知っていた。
例えば、道路ですれ違う車の車種を言い当てるのが得意だった。
「今の車は、チェイサーだよ」
「えっ、マークツーじゃないの」
「チェイサーとマークツー、あとクレスタは姉妹車なんだよ」
「へぇー、良く知ってるね」
こんな具合に、駒っしゃくれた餓鬼だったのである。

ここらで逸れた話を戻す。
私が車好きの子供だった時分には、エコカーなんてSFの中だけの話で、
世間的には、大型排気量の4WD車や、ターボチャージャー付きで、
燃費効率が恐ろしく悪いスポーツ車が、人気を博していた。
各新車は発売毎に好調に売れ、道行く車は新車ばかりだった気がする。

そんな時節の折り、我が家にも遂に、新車が納車される日が到来したのである。
学校から帰って来た私は、我が家の駐車場にピカピカの新車を見つけ、仰天した。
洒落た言葉で言えば、「サプライズ」だった。
当時自営業者で、時間の融通が利いた親父は、
直ぐに私を乗せてドライブに出かけたのだ。

花粉症の鼻水の如く、知らず知らずの内に、文章が明日へと垂れ落ちる。