523声 関西風

2009年06月06日

昨夜夜半の事。
前橋市内にある、赤提灯の焼き鳥屋。
カウンターと差向い、冷蔵庫の上に設置されている、
14インチ型ブラウン管テレビ。
焼き鳥の煙巻く中、朧な色調で映し出していたのは、ボクシングの試合。

店内の客は、カウンターで背中を丸めている私等のみ。
店の大将はもう、後の座敷で老眼鏡を当てがって、新聞を読んでいる。
リングアナの白熱した解説が、店内に響いている。
その声に釣られ、緩やかに、テレビに熱中してゆく店内の一同。

「あー」とか、「うー」とか、お互いの選手に良いパンチが入る毎に、
試合を観ている一同から、吐息が漏れる。
「あーアカン。なにやっとんじゃ。あーもうダメやで」
新聞越しに、大将も老眼鏡の上から叱咤する。
そして、最終ラウンドが終わって判定。
実力伯仲の試合ながら、紙一重の差で判定が下り、
大将が応援していた選手が肩を落とす。
大将もまた、視線を、新聞に落とす。
一寸して、カウンターに運ばれて来た、最後の注文品である、お好み焼き。
やはり関西風、だった。