『ニューシネマパラダイス』が映画の光を描いた映画なら、
同ジュゼッペ・トルナトーレ監督の『明日を夢見て』は映画の影を描いた映画。
『明日を夢見て』は確か誰かにWOWWOWを録画してもらい見た。
イタリアの美しくも貧しい田舎を舞台に、映画のオーディションと銘打って
人々をフィルムに収める男の話だ。
ところがこの男、全くの詐欺師。
オーディション料をせしめて、映画スターを夢見る人たちを欺く。
男が回すキャメラには、若い女や地元の名士、兵士などが映る。
その中の一人である美しい娘に男は惹かれるのだが、
男の正体は暴かれ、刑期を終えた後には娘は精神を病み、男の事もわからない。
『ニューシネマパラダイス』ではラスト、
フィルムで繋がれたキスシーンが並ぶ感動的なシーンがあるが、
この映画では、男が用途もなく撮りためた人々のインタビューフィルムが連なる。
実に切ない。切ないという言葉では補え切れないほど切ない。
同じ監督がこんな光と影を描くのか、と、これを見た20歳前後から、
映画を監督で観るようになった。
何の身構えもせずに深夜のTVで見た映画が強く印象に残ることもあるように、
マイナーな映画でも、だからこそ忘れられない映画がある。

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