2562声 ぐるりのこと

2015年10月14日

中之条ビエンナーレが幕を閉じた。
2007年から隔年開催。今年はもう5回目だった。

 

5回目ともなると、
顔なじみのスタッフや作家さんも増える。
以前は、会場にもなっている「tsumuji」内で
働いていたから、町外から来る人とも仲良くなった。

 

2年ぶりに会って「いやー元気でした?」と
言葉を交わす人たちがいる一方で、
今回は来なかったみたいだなあの人、
という人たちもいる。理由は様々だろうが、
「調子があんまし良くないのかな」と
勝手に心配してしまう人もいる。

 

新作『恋人たち』もすぐに観たい橋口亮輔監督の
『ぐるりのこと』は、とても好きな映画だ。
撮影は、中之条で撮影された『月とキャベツ』の
上野彰吾さん。男女の絶妙な距離感を捉える。

 

新興宗教による事件や、猟奇的な殺人、
テレビを騒がせる事件が多かった90年代の
法廷画家の冴えない男が主人公というのも良い。
男女の小さな世界の話と、社会の広い世界の話が
交差し、身近なことの大切さがより際立つ。

 

男の妻は、不幸な目にあい心を閉ざす。
男は無理に立ち直らせるのではなく、それもできず、
「調子が良ければいいね」と、ただそばにいる。
癒し系、なんて生ぬるいものではない。
広い世界の中の小さな二人の、再生の物語。

 

僕が勝手に心配してしまった人にも
その人をそっと支える人がいることを、僕は知っている。
それであれば、この先はきっと明るい。そう願っている。