588声 カラカラ鳴るまで

2009年08月11日

台風19号の影響で、終日、雨。
夕方に雨は上がったのだが、明日、午前中には本州に接近する模様。
よって、また明日も雨。
これによって、東北地方の梅雨明けが無くなった。
梅雨明けが無くなる。
ってのも、耳慣れない言葉だが、ずれ込んでいた梅雨明けが見込めないまま、
雪崩式に秋に突入して行くらしい。
兎も角、そう言う事になってしまった様である。
関東地方の今年の夏は、梅雨明け宣言以降も雨続きで、
例年と比べ、随分と日照時間が少ない。
お天道様の目を逃れてか、各マスコミで報道するニュース記事も、
連日、世情不安を感じさせるものばかりである。
そう言えば今年、さんざめく蝉時雨を耳にしていない気がする。
これも、日照時間の減少に比例するものであろうか。
昔、私が住んでいた部屋は、アパートの3階だった。
ベランダの目の前には、銀杏の大木が聳え立っており、
丁度良い具合に、日除けになってくれた。
しかし、利あれば害あるもので、朝っぱらから狂い鳴く、蝉たちに悩まされた。
こいつ等はしばしば、網戸にしがみ付いて、「ミーンミーン」をやる事がある。
当時、夜型人間だった私には、まさに拷問の如き仕打ちだった。
しかしそれも、毎年お盆過ぎ、日暮れに涼やかな秋風吹く頃に、大部落ち着く。
落ち着くのは良いのだが、力尽きて落ち行く蝉が後を絶たないのだ。
暫く見ない間に、ベランダが蝉の死骸で埋め尽くされている。
その、カラカラになって息絶えている蝉たちを、箒で掃く、あの乾いた感触が、
秋の夕暮の物悲しさを感じさせる。
ような気にさせた。