590声 酔いどれvs牛蛙

2009年08月12日

台風が去り、やっと、夏らしい気候が戻って来た。
しかし、こう暑いと、おしぼりで額の汗を拭いながら飲むビールが、
当然ながら美味い。
だから、酒量が増えていけない。
近頃、どうも生き急ぐ様な飲み方をしてしまう。
と言っても、酔っ払いの模糊たる感覚なので、其処まで切迫した状況でも無いのだが、
自然と飲むペースが速くなる。
生麦酒を1、2杯飲むと、もう焼酎やらウイスキーやら何やら、重量級の酒へ手が伸び、
決まって痛飲し、二日酔いになる。
それまでは、じっくりと麦酒を飲み、かつ肴をつまみつつ、
ゆっくりと焼酎方面へ移行して行った。
そう言う飲み方は、心地良く酔いが回り、酒の抜けも良い。
一頻り飲んで家路につく。
最終的に、田圃の用水路脇で独りうずくまり、涙目になっている事態が、
この夏、度重なっている。
広大な田圃の闇夜に鳴く、数万匹の蛙。
なんだか全員から罵倒を浴びせられている様な、心持になる。
「うるせってんだ」
などと、此方も酔いどれて反撃する。
「オーン」
すると、何処からともなく牛蛙。
落ち着き払った低音の声で、世にも些細な紛争を制す。
「オーン」
ふらふらと、電燈の下まで行って、振り返る。
「オーン」
電燈の灯、滲んで見える。
「オーン」
「るせってんだ、まったく」
「オーン」
苦笑いで、和睦。