611声 中毒と共に住む

2009年09月02日

「読書の秋」
と言う惹句に、扇情さえてか、洗脳されてか、近頃、急速に読書熱が高まっている。
中古本を買い漁り、読み散らしている。
部屋では、未読の本が都市化(林立するビルの如くに積まれている状態)していると言うのに、
新たに買ってしまう。
新たに買うのは、葉本の類が多いのだが、葉本を買いに行ったついでに、
別の本も目に付き、気付けば小脇に抱えている。
読書熱が高まっている時と言うのは、或る種、中毒患者に近い状態になっている。
例えば、全5巻の小説を読み始めるとする。
しかし、所有しているのは、3、4巻が欠落した1、2、5巻。
ゆっくりと1、2巻を読み進め、中古本屋で見つかった時に買えば良い。
などと、大らかな気持ちで頁を捲っているのだが、次第に小説にのめり込んで行き、
気付けば2巻を読了してしまっている、3巻は未だ手元に無い。
こうなると不味い。
どうしても先が読みたい、読みたくて堪らない。
夜っぴいて読んでいるので、顔色は優れず、虚ろな目の下には、隈。
気もそぞろで、日常の所作は、敏捷性を欠く。
まさに、中毒患者の状態さながらである。
火急の事態に、中古か新品かを選択する余地も無く、結局、新品で葉本を購入し、
一段落すると言う始末。
これから暫く、秋の長雨が終わる頃ぐらい迄だろうか、
日々、中毒と共に生活して行く事になりそうだ。