3496声 紫陽花の道

2016年06月04日

一切のことを放擲して、紫陽花を観に行くことにした。
紫陽花と言えば鎌倉や飛鳥山が思い浮かぶが、混雑を思うと足が遠のく。
近場で調べたところ、松戸市に「本土寺」なる名所があり、
別名は「紫陽花寺」である。

 

咲きはじめではあったが、まず、境内を埋め尽くす紫陽花の数に圧倒された。
紫陽花もさることながら、幾千本あるかという花菖蒲の田も見事であった。
天気は快晴であったが、小雨でも降っていた方がこの時期の花々は、
本来の風情が醸し出されるであろう。
照りつける日のためか、どうも花に疲れの色が見えてしまう。

 

ひとしきり観て、自宅に帰って来たころは夜であった。
天気は下り坂で、小雨が降りだしていた。
信号待ちの車窓から、電話ボックスの光に浮かぶ、道端の白い紫陽花が見えた。
ぞくっとするほど、可憐であった。