3499声 底の物体

2016年06月07日

呼吸が苦しい。
昨日あたりからなんだか肺に圧迫感がある。
梅雨の愚図ついた天気のせいだと思うが、
この時期は体調が芳しくない。
それに加えて、心を挫くようなものを今朝見てしまった。
 
年中、麦茶を作っている。
薬缶で水を沸かして、ティーパックを入れて作る、あのお馴染みのタイプである。
麦茶が冷めたら、薬缶から冷水筒に移し冷蔵庫で保存している。
今回の一件は、「それが、幾日くらい保存可能か」と云う意識が薄いので、
起こってしまった事態であろう。
 
今朝、いつものように給水筒からコップに麦茶を入れて飲んだ。
最後の一杯を注いだところで、給水筒は空になった。
スポンジに洗剤をつけ、給水筒の中に手を入れたその瞬間。
「ぎょっ」となって手を引き抜いた。
給水筒の底部分が、なにやらあやしい。
とても、怪奇な状態になっているではないか。
よく見ると、底部分に付着している蛙の卵と形容すべきか、
毬藻の出来損ないと形容すべきか、得体の分らぬ黴のような半透明の物体。
得体は分らぬが、決して体内に摂取してはいけないことくらいは分かる。
 
そう言えば、作ってから随分と時間が経っているし、
前回は冷水筒をぞんざいに洗ったことが、走馬灯のように浮かんできた。
考えつつ落ち着いてくると、だんだん胃のあたりがむかむかしてきた。
おまけに、肺の違和感もこの物体に起因するような気がしてきた。
体調は一挙に悪化し、自らの不精を呪った。
それから十数時間たった今、まだ病院には担ぎ込まれていない。