645声 説明し得ない秋の感情

2009年10月06日

台風18号が本州に近付いている為、今週は曇天続き。
この台風が行ってしまうと、冬との距離がぐっと縮まるだろう。
やがて10月も後半になると、いよいよ冬と同居せねばなるまい。
この時期、日本各地では秋祭りが行われ、地方などは収穫祭で俄かに活気づく。
そして、なんと言っても、田園風景が美しい。
稲刈りの終わった田んぼには、稲木が幾列も整列している。
天日に干されている稲の束が、秋の陽に照らされ、枯色に輝いている様は、
深く郷愁を誘う日本古来の風景である。
秋の夕暮れ時。
山間にひっそりと息づく寂しい集落で、この稲木のある風景を目にすると、
秋風が稲穂を揺らす如く、胸騒ぎに似た、僅かな胸のさざめきを覚える。
それは、田舎ばかりの事では無く、例えば、ビルが林立する都会。
ローカル線、無人駅の待合室。
これらの様な状況下でも、この類のさざめきを覚える時もある。
時には、秋風は野分となって、胸中を吹き荒れる事さえあるのだ。
それが一体どう言った感情であるのか、容易に説明し得ない。
それは秋、そう、稲刈りが終わる今時期に多い。
そんな説明し得ない感情を携えて、今朝、家を出た。
庭に植えてある柿の実の色が、随分と濃くなっていた。