661声 ラジオと林檎

2009年10月22日

公園の駐車場。
街灯の下、車を停めてじっと待っていた。
17時20分になるのを、である。
先日の事、知人から連絡が有り、「FMラジオで曲が流れる」と聞いた。
夕方17時からの番組で、曲が流れるのは17時20分頃だと言う。
出演者の作家さんが選曲した楽曲を流す。
と言う形式のコーナーで、メジャーデビューも、
ましてやインディーズレーベルにも属していない、その知人の楽曲を選曲するとは、
なかなか粋な計らい。
やがてカーラジオから、聞き覚えのある曲と歌声が聞こえて来た。
私がCDを借りて自宅で聞いていた時よりも、同じ音源なのだが、
そこはかとなく曲の完成度が高い様に思われた。
短い間だったが、私を含めた知人一同、群馬県内のどこかでこの時間、
固唾を飲んで、ラジオに耳を傾けていた事だろう。
曲が終わって、ぼんやりとフロント硝子の遠く、黄昏色が濃くなった榛名山を臨む。
山裾へ沈む残光が、熟れた林檎の如き赤色で、夜空へ滲み出していた。
一寸、笑って頷き、エンジンキーを回す。