664声 小山の湯に幸あり

2009年10月25日

1,450円。
今日買った、片道切符の値段である。
切符に印字されている文字は、「小山」。
曇天の日曜日。
両毛線で、隣県栃木までの小旅行。
目的は一つ。
小山市街地に残る最後の銭湯、「幸の湯」へ訪問する事。
往復、2,900円もかけて、一軒の銭湯に入りに行く。
冷静に考えてみれば酔狂な話だが、連日の二日酔いも重なって、
自ら酔狂たらしめようとしている。
だから、栃木県の銭湯にまで手を出してしまう。
小山駅を出て市街地を散策し、開店時間の15:30分に暖簾を潜った。
暖簾を潜ったのだが、日本人ってのは、
どうしてこうも「一番風呂」ってものにこだわるのだろうか。
暖簾が掛かるやいなや、洗面器抱えて待っていた地元のおやっさん。
番台にお金を置いて、「いざ鎌倉」って具合に血相変えて、脱衣場へ突進して行く。
私の方も、浴室の写真を撮らなければ、何の為の2,900円だったか、と言う崖っぷち。
番台のおやっさんに了承を得て、服も脱がずに浴室へ行き、
慌てふためいてシャッターを切る。
2,3枚撮ったところで、先程の洗面器親父が、早くもカランの前に陣取ったので、
浴室内撮影は終了。
もう、靴下ビチョビチョ。
入ってから撮る場合と、入る前に撮る場合がある。
圧倒的に、後者の方が心労が少なく、その後の湯をじっくり楽しめるので、
出来れば撮影後に入浴したいのである。
それが非常に厳しい戦いなのだが、その後、湯船に浸かって得る充足感と言ったらない。
幸の湯はとても綺麗な銭湯で、おやっさんも親切であり、何より湯船が広い。
ジェット噴射が4基も付いていた。
湯から出るのは、私が一番早く。
ゴクリと瓶牛乳を一気飲みして、銭湯を後にした。
湯上りの風が心地よい。
のだが、靴の中だけが、どうにも不快であった。