3635声 苦笑

2016年10月22日

郡山からの帰路はあっという間であった。
新幹線やまびこの席に腰かけて、
すこしうとうとし始めれば、
もう「大宮」のアナウンスが聞こえた。
東京駅の改札をくぐった時には、
郡山のあの澄んだ空気が懐かしくなるほどの、
人いきれの構内である。
あたりの店も洗練されていて、バリエーションに富み、
かつ接客も愛想がよいが、素朴さはない。
洗練されていることは、もちろん魅力がある。
けれど、混沌としていてもそこに魅力はある。
完成されていることが是で、未完成が非でという尺度など、
そこにどれほどの価値が、などと自宅のパソコンの前で、
恥ずかしげもなく書いているあたり、
ずいぶんと悪酔いをしてしまっている。
それもこれも、郡山駅で買った「純米吟醸 Dr.野口」なる酒を、
ぐいぐい飲んでしまっているからである。
この酒は、瓶がフラスコの形をしている。
いささか酔いの回っていた目には大変に愉快であるが、
当の英世博士は苦笑しているであろう。
苦笑しつつも、一杯。