689声 夜空の口論

2009年11月19日

マラソンの開催日が、とうとう近づいて来ていると言うのに、
一向に体が仕上がっていない。
仕上がりは勿論、当日の10kmを完走できる体力を備える事だが、
現在の私の目測では、5,6kmが限界かと思われる。
当日は知人等数人と一緒に出場するのだが、その中の一人である肝臓女史などは、
仕事帰り、スポーツジムへ行ってトレーニングしているとの事だ。
話を聞いていると、なるほど、ジムには運動設備が整っていて、
トレーニングをする環境としては最適である。
しかし、エアコンで快適な室温に調節された室内で、
ルームランナーに乗っかってペタペタ走るのも良いが、それでは得られない事がある。
私は、ここでも頻繁に書いている様に、夜、自宅近所を走っている。
それは、毎日ではなく、距離も2,3kmと短いものだが、
社会人となって運動と縁遠くなった現在、非常に新鮮な体験をしていると実感している。
まず、真冬の寒風吹きすさぶ田圃の畦道を、よろよろと走ってると、
否が応でも体と対話する事になる。
「体が重い」
「何故重い」
「昨日の疲労が残っているのか」
「いや、夕食を食べ過ぎみたいだ」
「もう少しペースを抑えろ」
「分かった分かった」
「よし、体が温まって来たぞ」
「じゃ、ペースを少し上げるぞ」
「あと一周走れるか」
「いやいや、もう無理だ」
「おいおい、そこをなんとか」
最終的には、対話が口論になってくる。
それでも、対話によって、相手の機微を捉える事は、より良い連携に繋がる。
単にスポーツジムに行くお足が無い為に、裏の田圃を走る羽目になっている。
冬の夜空の下、寒風に煽られ、鼻水垂らして走っている最中、
温かいジムをひがみながら口論の日々を過す。