3730声 目と耳

2017年01月23日

今日はとても冷たく感じる。
体調のせいもあるかもしれないが寒いと思う。
辻井伸行というピアニストがいて、彼の弾く「ラ・カンパネラ」をたびたび聞く。
気に入って、iPadに登録した。
聞きたいと思ったときに聞くのだが、1日の終わりなどによく聞く。
朝も聞く。
彼のカンパネラは身体に沁みてくる、というか、完全発酵の日本酒のような親和性がある。
試しに、同じカンパネラを違うピアニストの演奏で聴き比べてみたこともある。
それぞれにいいが、辻井伸行のカンパネラを聞きたくなる。
辻井伸行のカンパネラははしゃがない。

落ち着いていて、繊細なメロディが耳に心地いい。
陶酔感みたいなものを、表面的に感じない。
NHKが、夜になると「ラジオ深夜便」という番組を流しているのだが、あれをよく聞く。
「ラジオ深夜便」のトーンは低くて、あのトーンがなんだかいいのだが、テレビでやっていても見ないと思う。

陶酔を求めるのは目なんじゃないか。

耳と比べた時に。
相撲中継も似ていて、陶酔感のある躍動的な取り口はラジオよりもテレビに向いていると思うし、じっくりと地味だけど丁寧な取り口は、ラジオに向いている気がする。
結婚式を音声だけで流しても誰も感動しないだろう。
何を言いたいかというと、エンターテイメントの中には、ラジオ的なはしゃがない親和性の心地よさもあるということを、思った。

きっと本当は、そこが大事なんだけれど。

見落とされがちというか、聞き落とされがちだが。
とはいえ、昨日の話に戻るが、稀勢の里は土俵の上でもっとはしゃいでいい。