707声 マラソン狂想曲

2009年12月07日

「こんのヤロ」
「なんでオレが、こんな」
これは内なる私の声である。
昨日の日曜日、午前11時。
伊勢崎市華蔵寺公園脇の田圃道を、よろよろと走りながら、胸の奥で呟いていた。
満を持して臨んだ、第5回伊勢崎シティマラソン10km。
前日の雨から一転、雲一つ無い、澄み渡った快晴の冬空。
記録によると、「天候晴れ、気温11度、湿度75%」となる。
「パン」と言う発砲音と共に、羊の群れの如く、
固まりになって陸上トラックを走り出す参加者たち。
群れから逸れぬように、懸命に付いて行く私。
10kmの道のりは長い。
2、3kmまでは、気力体力共に温存されており、虎視眈々と早い順位を狙って行くが、
それを過ぎると後はもう惰性で走って行く。
もう順位も何も、ただ行き倒れないように、一定の動作を繰り返すゼンマイ式の、
人形ならぬ人間となって、ゴールを目指す。
途中、コース上に給水所が設置されている。
走行中、荒々しく紙コップを引っ掴んで、中の水を、氷もろとも口の中へ放り込み、
コース脇に紙コップを投げ捨てる。
その行為を客観視して、「玄人ランナー」になった様な心地好さを覚えるが、
後方から、次々に、真の玄人ランナーたちに抜かされて行く。
それが、白髪頭の鶏がらみたいなおじいちゃんだとか、メタボリックなおやっさんだとか、
友達としゃべりながら余裕で走る女子高生など。
顔面蒼白で冷汗を流しながら走っている私を、スイスイ抜き去って行く。
自尊心も身体もぼろぼろになり、道からの声援に答える気力も無くなって、
一緒に出ていた仲間等にも追い付けずに、虫の息でゴール。
棒になった足を引き摺って、近所の日帰り温泉へ直行。
温泉へ浸かっていると、先程コースで見かけた、花田監督と上武大学駅伝部の面々。
来年の1月2日は箱根を快走する彼らを、テレビで応援している事だろう。
風呂から上がって、食堂の隅っこ。
不本意なマラソン順位の私は、ビールに喉を鳴らす。
この美味さったらない。
その場合の順位は、今年で1、2位を争う。
そうそう、肝心な私のタイムは、1時間1分57秒。
順位は男子10km、年齢層を全て含めておよそ160人中の、130位。
130位はキリが良い順位で、「飛び賞」っちゅうのに選ばれ、
ぺヤングのカップ麺を3つ貰った。