709声 猫踊り

2009年12月09日

三味線を買った。
ネットオークションで、中古品を安く手に入れたので、
取り分け感動したと言う事も無かった。
先日の晩、宅配で届いたのだ。
一応ハードケースに入っていて、パチリと金具を外して、
ケースの蓋を開ける瞬間になると、漸く胸が高鳴って来た。
手に取ると案外軽く、ギターの様にくびれていないので、弾く時に座りが悪い。
撥が付いていないので、ギターのピックで代用した。
早速、糸巻きを締めて、音をチューニングと言うのか、つまりは合わせようと試みた。
本調子、二上がり、三下がり。
って言葉は知っているが、どうにも合わせ方が分からない。
闇雲に、我流で変速チューニングに合わせ、調子っぱずれな不協和音を奏でる。
やはり、どうにもひょうきんな音が出てしまうので、
暫く、糸巻きを締めたり緩めたりしていると、「べチン」。
二の糸が切れてしまった。
私は、ギターを弾いていても頻繁に弦を切る方なので、気にせず弾き続けた。
二味線となったその楽器は、さらに奇妙な調子の音を出す。
私がギターピックで、出鱈目に弾くリズムも相まって、
どこか此の世の物とは思えない音色が、部屋に鳴り響く。
その節に合わせて、近所の野良が、月明かりの下で猫踊りを踊る。