718声 病院でお泊り

2009年12月18日

のっけから気がかりな題名を付けて、驚かれた読者も居ると思う。
しかし、驚いたのは私なのである。
それを早く言えと言われる前に言っておくが、入院するのは私ではない。
私の友人なのである。
つい先程、電話を取ったら、憔悴した友人の声がそれを告げた。
彼は私と同級生なので、現在20代後半。
既婚で子供も居り、大きな会社に勤めている。
まさに、私とは一線を画す、立派な一家の大黒柱なのである。
病状のあらましは、どうやら肝臓を悪くしたらしい。
検査入院らしいのだが、肝臓っては自己主張の乏しい臓器なので、
入院期間は検査いかんで変わってくるとの事。
吐き気に腹痛、発熱に倦怠感。
とどめに軽い黄疸。
と波状攻撃で攻められては、誰だってまいってしまう。
因みに、原因は酒では無い。
それに畳みかける様に、家の事、会社の事が覆いかぶさってくる。
大きな会社の若手注目株であり、家族思いのお父さんである彼にとって、
この時期の病気と言うのは、さぞや切歯扼腕する事だろう。
社会生活上でおぼろげな存在である私は、非常におこがましいのだが、
一応同世代として、その気持は幾らか察する。
大丈夫。
例えば、サイコロ。
5だとか6だとか、彼はいつも大きな目を出して、皆の先をとっていたんだ。
ここへ来て、2だとか3あたりの小さい目が出たからと言って、心配する事はない。
本来が引きが強い、またすぐに大きな目を出しているはずである。
翻って、ここで鼻水を垂らしながら書いている私などがサイコロを振ると、
ほら、赤い点がひとつ。
いつもこれだ。