のっけから気がかりな題名を付けて、驚かれた読者も居ると思う。
しかし、驚いたのは私なのである。
それを早く言えと言われる前に言っておくが、入院するのは私ではない。
私の友人なのである。
つい先程、電話を取ったら、憔悴した友人の声がそれを告げた。
彼は私と同級生なので、現在20代後半。
既婚で子供も居り、大きな会社に勤めている。
まさに、私とは一線を画す、立派な一家の大黒柱なのである。
病状のあらましは、どうやら肝臓を悪くしたらしい。
検査入院らしいのだが、肝臓っては自己主張の乏しい臓器なので、
入院期間は検査いかんで変わってくるとの事。
吐き気に腹痛、発熱に倦怠感。
とどめに軽い黄疸。
と波状攻撃で攻められては、誰だってまいってしまう。
因みに、原因は酒では無い。
それに畳みかける様に、家の事、会社の事が覆いかぶさってくる。
大きな会社の若手注目株であり、家族思いのお父さんである彼にとって、
この時期の病気と言うのは、さぞや切歯扼腕する事だろう。
社会生活上でおぼろげな存在である私は、非常におこがましいのだが、
一応同世代として、その気持は幾らか察する。
大丈夫。
例えば、サイコロ。
5だとか6だとか、彼はいつも大きな目を出して、皆の先をとっていたんだ。
ここへ来て、2だとか3あたりの小さい目が出たからと言って、心配する事はない。
本来が引きが強い、またすぐに大きな目を出しているはずである。
翻って、ここで鼻水を垂らしながら書いている私などがサイコロを振ると、
ほら、赤い点がひとつ。
いつもこれだ。