昨日の夕方、前橋や高崎市内で風花を見た。
上空には、赤城山や榛名山を跨いで来た、厚い雪雲が垂れこめている。
暗く煙っていて、山並みが見通せない。
おそらく、吹雪いているのだろう。
いよいよ、雪の季節がやって来た。
この時期に恋しくなるのが、鍋料理。
すき焼き、ちゃんこ、水炊き、しゃぶしゃぶ、寄せ鍋。
鍋料理は多彩である。
その多彩な鍋料理に、近年、輪を掛ける様に新種が登場している。
カレー鍋、トマト鍋、豆乳鍋にコラーゲン鍋。
それらに共通するのは、「ヘルシー」と言う惹句。
鍋一つとっ捕まえて、健康に影響するかどうかを、吟味してもなぁ。
などと思っても、近年の外食産業における集客の比重が「女性層」に在るとの事なので、
その層が飛び付かなくては、商売にならない。
だから、一寸したチェーン店の居酒屋などに行くと、メニューにおける鍋の頁、
「ヘルシー鍋特集」などと銘打たれている。
そして、すき焼きや、水炊き、旬の鱈などが入っている海鮮鍋などは、
升席に追いやられているか、番付にも登場していない。
いささか残念に思いつつも、しぶしぶ、コラーゲン鍋だかなんだか、
得体の知れぬ鍋を注文する。
これがまた、美味かったりするので、文句の言いようもない。
判然としない気持ちで、美味い美味いと平らげた。
鍋を食って判然としない。
で思い出したのだが、内田百?の随筆に一つ話があった。
百?先生が友人を歓待する際に、悪戯心で一つの鍋を思いついた。
それは、鍋の中に、馬の肉と鹿の肉を一緒に入れて、食べさせる言うもの。
こんな鍋を食べさせられた方も、味は美味いが、心持は判然としないだろう。
しかし、話のタネになる分、ヘルシーよりも得な気がする。