746声 回遊魚

2010年01月15日

今日の夕方。
帰宅途中、ふらりと本屋へ寄った。
店内、そぞろに見ていると、奥の通路に、本が詰められた銀のラックが1体。
ラックに付いているポップには、「セール品」とマジックで書かれている。
本の背表紙を見るに、その大半が料理のレシピ本。
何気なし、手にとって頁を捲ると、良く出来ている。
分かり易く、デザインのセンスも良い。
奥付まで来ると、出版社名。
知らない。
ラックに本を戻すと、大半の本が、その見た事も聞いた事も無い出版社の本。
他にも、目にした事が無い出版社の本が並んでいる。
僅かに遅れて、察しがついた。
これ、皆、昨年、及び一昨年に、倒産してしまった出版社の本ではなかろうか。
値札を見ると、半額から6割7割引きの、もはや叩き売り状態。
昨今の出版不況を思い、いささか悲しくもあるが、購買心をくすぐられる。
そこに陳列されている本が、大半がレシピ本と言うのも、合点がいった。
料理のレシピなどは、主婦の方々、最近はインターネットで検索するのが常識らしい。
と、聞いた事がある。
確かに、各サイトやブログなどで閲覧すれば、無料なのだから、
本の売り上げも伸び悩む訳だ。
ラックに載っているのは、
掴みどころの無い顧客ニーズってやつを、掴み損ねた結果である。
湖にいる魚の群れは、常に回遊している。
一旦は、自分の垂れている釣り糸の下に留まって、餌を食べていたかと思えば、
回遊し、また別の釣り糸の餌を食べる。
その餌が、新鮮であるうちは留まっているが、鮮度が落ちてくれば、また回遊。
回遊魚のいるポイントを掴み、その湖に適した餌を用い、
餌が新鮮な間に釣り上げてしまう事が、重要だ。
その前に、糸がこんがらがってしまうのが、いつもの私の釣りである。