3897声 デザインって何だ

2017年07月09日

中之条町観光協会のHさんと二人、吾妻線に揺られ高崎。

 

「シンキチ醸造所」の開店前にするりと入り込み、堀澤さんの新作ビール「セゾン」をぐびり。昼の12時である。機嫌よく店を出て、多くの常連さんから愛される店「栄寿亭」でカツ丼Bを注文する。Aはソースカツ、Bは卵とじなのだ。ハフハフ食べる。炎天下をしばらく歩いて、江戸時代創業という寝具屋「金澤屋」ですごい枕を試し寝して、長い行列ができたかき氷の店「日本一」を横切り、ゲストハウスもしているカフェバー「灯り屋」のリノベーションっぷりを覗き見し、その向かいあたりのセレクト本の店「レベルブックス」は休みだったんだけど、Hさんとこのあたりの町の感じいいよね、と話ながら、建物から置いてある器から店に立つご夫婦まですべてが凛としている「matka」で売り物ではないアイスシナモンティーをいただき、砂糖入れてないのにこんなに甘いの!と衝撃を受ける。

 

今日の目的は、渋谷ヒカリエ内にかっこよいセレクトショップも開いている「D&Department」による「d design travel」群馬県版制作に向けたワークショップ。東京のコピーではなくその地方ならではのデザイン、流行り廃りではなく末長く愛されるロングライフなデザインをもつ場所・レストラン・カフェ・モノ・キーマンを、参加者たちは次々に挙げていった。それをもとに今後県内各地で地道な取材が行われ、紋切り型ではなくディープでかっこよい群馬の観光本が作られることとなる。

 

デザイン=見た目のかっこ良さ、だけでは薄っぺらだけど、老舗のお店が築いてきた歴史=デザイン、思いをもった人が変えてきた地域の変化=デザイン、とも言ってしまえるのが「デザイン」という言葉の便利かつ難しいところ。酔いはすっかり冷めていたけれど結果「デザインって何だ?」という疑問は残った。

 

そういう場には、同じ関心をもった不思議な人たちが集まるもので。ばったり会った知人数人とはじめましての方とで、吾妻線の終電までは地元感満載な「慶会楼」という店で焼肉を囲んだ。よくはわからないけど、ビールから焼肉までの今日一連こそが「デザインだ」と言えなくもない気がした。