ここ数年、同じ人の曲を何度も聞いている。
たいがいは、そう言っても2,3年すれば別の人の曲を聞くのだけど、寺尾紗穂さんの曲は、聞かなくなる日が来るのだろうか、という位聞いている。昨年は「山形ビエンナーレ」ではじめて彼女の生歌を聞いた。路上生活者からなる舞踏集団「ソケリッサ」とのライブ。全国を渡り歩き日本の童歌をアレンジしたアルバムも出した寺尾さん、他のミュージシャンがやらないことをやるということで、芸術祭でのライブに呼ばれることもあるのだろう。
作詞作曲ピアノの弾き語り。高く澄んだ声なので、耳障りが良いということもある。軽く聞いただけでは聞き流される音楽かもしれない。でも彼女の歌には聞いた人のそれまでの人生のどこかをノックする強さがある。そして最近出た新譜「たよりないもののために」もまた、自分の中の何かをノックして止まない。
疲れ切った仲間が
舞台をおりていくよ
舞台なんかないって誰も叫ばない
演じることがすべてなんて
そんな真実いらない
正直だった者たちの
ダンスは続いてる