3904声 映画の旅1

2017年07月16日

伊参スタジオ映画祭の実行委員長になって数ヶ月が経った。今までとの違いは、会議の時に司会的な役割を演じることと、そもそも会議をサボらないこと。ほんとはもっと色々やらなきゃいけないのだけど、そういう基本的なことから始めている。

 

数年やっていなかった「研修旅行」を今年再開できた。今日明日の2日間、映画祭スタッフ有志と共に旅に出る。今日は、伊参スタジオができるきっかけになった山崎まさよしさん主演『月とキャベツ』のもう一人の主役、真田麻垂美さんが本格的に女優活動を再開した主演映画『心に吹く風』を見に、新宿武蔵野館へ向かった。北海道美瑛町が舞台のこの映画、監督はなんと「冬のソナタ」のユン・ソクホ監督である。今日は『月とキャベツ』監督であり伊参でもシナリオコンペの審査員を務めてくださっている篠原哲雄監督と真田さんとのトークもあり、一緒に行った映画祭スタッフのテンションも上がる一方だった。

 

『心に吹く風』は、20数年ぶりに高校の時に淡い恋愛をしていた男女が会う。女はすでに結婚している。ふたりは見渡す限りの丘が広がる美瑛町をさまよう・・・という、静かでピュアな物語だった。真田さん曰くユン監督はこれが初の劇映画だそうで、日本であれだけブレイクした冬ソナの監督が多分何年も温めた映画への思いで、こんな淡い恋心の映画を作ったということに、執念みたいなものを感じずにいられない。そして『月とキャベツ』の後、20年の年を経て再びカメラの前に立つ真田さんにも、想像できない不安や覚悟があるものと思う。そんな彼女を応援する篠原監督をはじめとする月キャベスタッフ(松岡プロデューサー、上野カメラマンなど)もいて、そのあたりには映画そのものだけを幾重にも包む人の関係性、豊かさを感じる。

 

2017年の今、物語を物語ることに何の意味があるのだろうか。ただ娯楽を得るためだけならそんな事考える必要もないのだけれど、スマホ片手にごく簡単に映画が観られる時代である。だからこそ、その出発点から映画を考える、作る、応援する必要があるのだと思う。・・あ、なんか俺、実行委員長っぽいかな。そう書く時点でまだまだだな。