765声 裏通りへの誘い

2010年02月03日

1億7,400万円。
これはラーメン店の1年間の最高売り上げ。
驚くなかれ、チェーン全店でなく、1店舗あたりの売上なのである。
その店は、「博多一風堂」と言う。
現在、日本一流行っているラーメン店、と言っても過言ではない。
私の友人、知人等も行列して食べて、その都度、「美味い、美味い」と言っている。
私はと言うと、ラーメン店のみならず、流行りの店には疎いので、食べた事が無い。
群馬県では、高崎市に1店舗あり、とても盛況な様子。
この一風堂、来店者の4割を女性が占めていると言う。
「女性一人でも気軽に来れる」
ってのが、近年、飲食店繁盛のキーワードになっているようだ。
そう言えば巷の繁盛店を見るに、店舗から料理まで一貫して、洗練かつ清潔な印象である。
翻って、巷の伝統的な銭湯等も、このキーワードに則した経営方針を、
などと、無責任な考えを持つが、それでは味気ない。
それはまた、所謂、昔の銭湯とは違った商売なのだろう。
遠くない未来。
街には、「女性一人でも気軽に入れる」式の店が増えて行く。
それは、「男性一人では気軽に入れない」店と言う事になると思う。
そうなると、そこからあぶれた男たちが、小汚ない食堂で肩寄せ合って、
ラーメンを啜り、楊枝で歯を突いている。
と言う光景を、容易に想像し得る。
その件で言えば、私などは、流行最先端の往来を、大手を振って、
歩いていると言う事になる。
しかし、やたらと男ばかりが目立つその往来は、やはり裏通りである。
時代に誘導されるが如く、どうしても、裏通りに足が向いてしまう。