774声 それぞれの更年期

2010年02月12日

先日、某氏と私、焼鳥屋のカウンターの隅で飲んでいた。
某氏はここ最近、「めっきり酒が弱くなった」と言うのが、酔って来た合図かの様に、
背中を丸めて、ぽつりと呟く事がある。
その日も、近日の泥酔体験を交え、瓶麦酒を傾けつつ、その合図が毀れ落ちた。
「某さん、それは更年期ですよ」
ぎょっとした目線で、私を見る。
「いや、一種のね、所謂、女性の更年期障害と言う意味ではなくて」
その意を介したのか、コップの麦酒を飲み干す、某氏。
注ぎながら、私。
「世代の変わり目、と言う意味での更年期に差し掛かって、
体調にも変わり目が訪れたのかも知れませんね」
言ってる私も、考えてみれば、そろそろ、更年期に差し掛かる年齢である。
その意味で言うなら、10代から20代も更年期。
最近巷でよく聞く、「アラサー」、「アラフォー」と言うのも、更年期である。
体調の面から見ても、10代から20代に代わる頃が、変わり目だったと、回想する。
しかしそこには、「酒」と言う奴が、未だ出会って間もないのに、
なれなれしく肩を組んでいる。
私は、次、20代から30代。
やはり、酒の奴がしつこく纏わりついて来て、時に慰めあい、時に喧嘩し、直ぐに和解する。
今の所は、良き友である。
更年期は、免許の更新の様に、通り一遍の試験で交付させる物でない。
従って、打ったり打たれたりしながら、一進一退の攻防線を続けて行かなくてはならない。
焼鳥屋から次の店へ河岸を変えようと、薄暗い路地裏を歩いていると、某氏。
「さっきの店のさ、若女将、あれ、幾つだと思う」
「20代中盤から後半ですかね」
「いや、俺の見立だと、10個は上だな」
更年期の見立も、人それぞれである。