775声 せめてごえん

2010年02月13日

チョコと念溶かす貴女は魔女と化す
そんな、恥ずかしく安直な韻を踏んで、一句創作したくなってしまう理由は、
明日のバレンタイン。
浮かれている人。
あるいは、我関せず、とは言うものの、内心は落ち込んでいる人。
その明暗が別れるのが、明日。
一定の年齢を越えると、自らの年中行事の中で、バレンタインの存在感が、
薄らぐものである。
しかしながら、年齢の所為ばかりではないのだろう。
チョコは貰えど、義理チョコばかり。
と言う、釈然としない心持になる人も、多い筈。
特に、ここ群馬県では、多く見られるのではないだろうか。
その理由は、「上毛かるた」の「ら」。
「雷と空風 義理人情」
県民性と理解し、コンビニで見掛けたようなそのチョコレートと一緒に、
煮え切らぬ気持ちを嚥下しちまうのが賢明である。
そう言えば、一昔前の今時期。
当時よく訪れていた、高崎市街の喫茶店。
勘定を払った私に、レジの娘が、渡した小さな紙袋。
紋切り型の礼をぼそぼそと述べて、そそくさと店を辞した。
往来に出て、慌てふためいて袋を開けると、中には、「チロルチョコ」が一個。
せめて、姉妹商品の「ごえんがあるよ」と言う、通称「五円チョコ」と呼ばれている、
あのチョコの方が…。
とは言いつつも、チョコをシャツの胸ポケットに入れ、軽やかに、スキップ。