3624声 都心の柿

2017年10月14日

定例の句会で原宿駅へ出かけた。
原宿といっても、代々木公園と句会場を往復して帰るだけなので、
私にとっての原宿はここ数年、自然に触れて句会をする場所として定着している。
代々木公園の沼の脇に、一本柿の木が植えてある。
いかにも都会の果樹という風情だが、ひょろっとした枝にたわわに実をつけていた。
立ち止まって、眺めていると雀がひっきりなしに来て、実をつついていた。
郊外ならば気にもとめない光景だが、都心で見ると、何か珍しいことにように思えて、
しばらくぼんやりと眺めていた。
こういう作意なく頭が空になっているときは、思わぬ一句がつかめるような気がする。
中に神経の図太い雀がいて、一緒に来た群がみな飛び去っても、
カメラマンにレンズを向けられても、知らん顔で柿を一心につついていた。