こんばんは、お待たせ致しました。
なんだ、昨日見た顔ばかりだね。
いや、結構結構、ありがとうございます。
今日は、いよいよ最終回の後編をお届けいたします。
今までの回を見逃がした方、安心して下さい。
今日から読めば大丈夫。
実は、内容があるのはこの一回。
いやいや、さて、丁度時間となりました。
では、昨日の続きからはじめます。
最終回の、はじまりはじまり。
私が一緒に撮影に行ったのは、勿論、「寅さん」。
ったって、それは一体、どこのどちらの寅さんか。
「尾瀬の寅さん」
いや、今は引っ越して「信州の寅さん」。
でも、何れは「安中の寅さん」。
まぁ、ちとややこしい。
要は、折角バス停が復元したんだから、この寅さんとそのバス停に行って、
あの名シーンも復元してみようじゃないか。
ってのが、今回の企画の発端。
当日はまさに、映画のスクリーンから抜け出た様な青空。
山越え谷越え、辿り着いた上荷付場バス停。
その佇まいは、確かに映画の中にあった、あのバス停。
早速、バス停の中、寅さんに立ってもらうと、映画のワンシーンそのまま。
とまでは行かないが、眼前の風景と記憶の風景が交錯し、
どこか映画の中にいるような心持で、カメラを構えます。
濃い夏の日盛り、静まり返ったバス停で、いい大人が2人して映画のワンシーンを再現。
時折通る、坂道を上って行く車は、皆、減速しながら私たちの横を通り抜けて行きます。
丁度その時、坂を上って来る、一台のバス。
すれ違いざま。
バスに向かい、持っている団扇を振る、寅さん。
しかし、ここは正規のバス停で無いし、バスの方も路線バスでないので、
当然、停まる訳きゃ無い。
がっくり肩を落として、バス停に戻って座り込む、寅さん。
その光景は、まさに、映画の状況と酷似しておりました。
映画では、通過したバスが停まり、リリーがバスを降りて駆けて来ますね。
現実は、そう上手くは行かなかった。
静まり返ったバス停から眺める、山々の風景。
そこに四角いフレームが現れ、真ん中に浮かび上がってくるのは、「終」の文字。
そんな映像が、見えた様な気がして振り返り、寅さんの背中にそっとかける、ひと声。
「さて、行きましょうか」