917声 喝采と野次

2010年07月05日

夜半、外ではしっとりと雨が降っている。
薄い雨蛙の声と共に、迷い込んで来た夜風が、時折、カーテンを揺らす。
こんな宵は、一刻も早くこれを書き終えて、
読みかけの長編小説の世界に潜り込みたいのだが、毎度、そうは問屋が卸さない。
その為、毎晩厨房に入って、一仕事。
生活体験の断片を、幾つか見繕って鍋に入れ、煮詰めて行く。
時に煮詰め過ぎて、あるいは、煮詰める具材が少な過ぎてか、鍋に焦げつく。
その、おこげをガリガリと、ヘラでもってこそげ落とし、皿に盛り付ける。
今日の皿。
盛られたおこげをよく見ると、「917声」と書いてある。
夜を打つ雨蛙の声滔々と
喝采だろか
それとも野次か