明日は七夕である。
七夕は明日なのだから、明日この内容を書けばよいものだが、
思い付いてしまったので、今日書く。
一年前の今時分、伊勢崎市の相川考古館で行われた、川柳会に参加した。
うろ覚えだが、席を囲んだのは、私を含め12、3名。
しかし、最優秀賞に選ばれた川柳だけは、鮮明に記憶している。
天の川渡り切れずに流れ星
なるほど、仄かにメランコリックな香り漂う、口当たりの良い川柳だと思う。
川柳としての善し悪しは、会の当事者が決める事なので、
この期に及んで言及するまでも無い。
問題は作者である。
作者は、Iさんと言う男性。
私よりも年嵩は随分と上の方だが、数年前から親しく付き合わせて頂いている。
と言っても、私がIさんと会うのは、十中八九、どこかの酒席である。
そして、酒席でのIさんに、私はいつも感心する。
それは、要望の貫徹だけを試みているからなのである。
その為、徹頭徹尾、女性を口説くのである。
私は未だかつて、Iさんが女性に対する悪口を聞いた事が無い。
反面、同性に対する悪口は、悪口に留まらず、罵詈雑言である。
それも、サラリと器用に川柳を詠む人だから、言葉の刺を絶妙に抜いている。
だから、座を心地よく沸かせるのが上手い。
先日も、とある酒席で久しぶりにご一緒したが、男などには目もくれていない。
しかし私は、Iさんと会うと、一緒に杯を重ねる事が多い。
「あんたはべつ」
と言う、何だか複雑な心境になる言葉を頂戴しているからだ。
その結末はと言うと、千鳥足で、街の闇に独り消え行くIさん。
と言った具合である。
先日も、酣になった酒席。
私は帰りがけに、空のジョッキ片手に、ぽつねんと虚空を見つめながら、
座っているIさんの姿を見た。
天の川を渡り切れない流れ星は、何の事は無い、自分だったのだ。
年に一度、天の川の橋を渡って逢う、織姫と彦星よりも、砕け散った流れ星の物語を、
私は読みたい気がする。