924声 遊鄰座の大活辯上映会

2010年07月12日

昨日は桐生市で開催された、大活辯上映会へ行って来た。
主催は、遊鄰座で「活弁」実行委員会。
会場は、有鄰館の煉瓦蔵。
有鄰館に足を踏み入れるのは、この日が初めてだった。
蔵内の雰囲気に、成程、各種イベントスケジュールが数ケ月先まで埋まっている、
人気スポットたる所以を理解させられた。
チラホラ、立ち見が出る程の盛況ぶり。
演目は、澤田正二朗の国定忠次、ハロルド・ロイドの豪勇ロイド、
阪東妻三郎の坂本竜馬。
勿論、三本とも白黒の無声映画で、私は観た事がなかった。
それもその筈、前の2つは大正時代、最後の坂本龍馬でさえ、昭和3年の作品である。
活動写真弁士(活弁士)を務めるのは、
麻生八咫(あそう・やた)子八咫(こやた)親子。
映写するのは、桐生和紙を貼って作った大型スクリーン。
この味のあるスクリーンに映し出される映像に向かって、「語る」のである。
あらすじ、セリフ、効果音の全てを人力で映像に合わせるのだが、
その臨場感たるや、現代映画を凌ぐが如し。
弁士が語る事により、映像が見えなくとも楽しめる。
そう、録音で聞く落語みたいに。
「チントンシャン」
このオツな音色は、地元桐生の「山茶花の会」の方々が三味線と尺八で奏でるお囃子。
スクリーン一杯に映し出されるのは、ギラリと愛刀の小松五郎義兼を抜く国定忠次。
そこに響くのは、弁士の朗々とした語り。
「赤城の山も今宵を限り〜」
これを聞くと、生粋の桐生人は血が滾るのだろう。
私の隣に座っているおばちゃん、固く拳を握りながら、映像に喰い付いている。