932声 鰻の野望

2010年07月20日

殺人的。
と言うのが誇張でなくなる程、太陽が苛烈に照っていた。
伊勢崎市では今夏最高気温、38℃度を記録。
勿論、直射日光が照り返す、往来のアスファルト上の体感気温は、更に高い。
こう言う日は、「暑さに負けず」なんて精神こそ放擲して、
兎に角、暑さから逃げるのが得策と思われる。
でないと、新聞紙面に毎日の様に載っている、
「熱中症と見られる症状で死亡」
なんて事になりかねない。
陽炎揺らめく幹線道路。
沿道に店を構える牛丼チェーン店。
その店頭に貼ってあるのは、「鰻丼500円」と銘打たれた、野外ポスター。
釣られて入って、鰻丼を注文。
気付けば明日は、「土用の丑の日」ではないか。
知らぬ間に、この古典的キチャッチコピーが、意識内に刷り込まれており、
無意識の内に鰻を欲していたのだろうか。
思えば、ここ近年、私が食べる鰻は、決まって「丼」で、「重」の鰻なんて、
久しく食べていない。
落語の「居残り佐平次」では、貸座敷に居残った佐平次が、朝湯から上がって、
悠々と荒井屋の鰻で一杯やる、なんて場面がある。
そんな事を思い出すから、目の前の丼が、えらく情けなく思えて来た。
今夏は必ずや、蒲焼きで一杯。
と言う野望を胸に抱きつつ、炎天の路上に立つ。