963声 暑さには熱さ

2010年08月20日

依然として、暑い。
残暑である。
報道では毎日、今夏の熱中症における死亡者の数が更新されている。
そんな折だから、巷のラーメン屋などは空いているかと言うと、
これがどういう訳か、混んでいる。
私の行きつけの食堂も、ラーメンを主軸としたメニュー構成の店なのだが、
夏日にわざわざ熱いラーメンを食べに来る人がいるかと思うと、これが結構居る。
お客さんの大半は、肉体労働従事者の方々。
近所で道路工事をやっている人や、隣の工業団地に勤めている工員の人たちなど。
私の斜向かいに座って、ラーメンと丼飯をかき込んでいる、御一行。
首巻タオルのおやっさんがかけているのは、サングラス。
一見、そう見えるが、あれは溶接作業時にかける遮光眼鏡であろう。
その隣で、大盛ラーメンを啜っているニッカポッカの兄ちゃんは、
全身が素焼きした土器の如く、こんがりと焼けている。
毎日、炎天から直射される日光の為に、焼けているのだろう。
そんな光景を目の当たりにして、暑さとがっぷり四つに組んで戦っている戦士たちは、
意外と「涼」を求めないものだな、と感じた。
日がな一日、クーラーの効いた部屋なんかに居る、事務系の人。
カーエアコンを最大目盛りにして、飛び回っている、営業系の人。
いわば、暑さから逃げ回りつつも戦っている人たちの方が、
ざる蕎麦だとか、冷やし中華だとかで、「涼」を求めているような気がする。
前者と後者。
どちらが熱中症になり易いかと問えば、私は後者と答える。
これからその説明をつけるのが、医学にも栄養学にも通じていない私なので、
ここはひとつ、描写を極めて抽象的にする。
暑さと見合って、「ハッキヨーイ」と相撲を取った場合。
土俵に残れないのではなかろうかと思う。
後者が、である。
前者は暑さと真正面からぶつかり、がっぷり組んで、行事の気合い、
「ノコッタ、ノコッタ」
となる。
それに対して後者は、真正面からぶつかる暑さを交わそうとするが、
体勢を崩して、あるいはまわしを取られて、押し出し突き出し浴びせ倒し。
ってな具合に、あっさりと暑さに負けてしまう。
現に、私は依然として夏バテ状態継続中である。
兎も角、暑さには熱さをもって制す。
と言う事を食堂から学んだ。