かなかなの声に起こされたら、日暮れ。
どうやら、すっかり寝入ってしまった。
体の芯に色濃く残っているのは、疲労。
しかし、非常に心地の良い、疲労感である。
昨日、私が高山村の「みどりの村キャンプ場」へ着いた時刻は16時。
小一時間の遅刻である。
着いたらすぐに缶麦酒を開けて、3缶目を開ける頃には、
机の上には豪勢な夕食が並んでいた。
こう書くと、怠惰極まりない人間と言う印象だが、私もキチンと仕事をこなしている。
それは、「餃子の皮包み」と言う大役である。
その場は、オートキャンプ場のテントサイトだが、テントを張る人、
包丁を持つ人、コンロで火を起こす人。
これは皆、大人。
餃子の皮を包む人、これ皆、子供。
その中に、一人加わる大人が、私。
なんだか腑に落ちない仕事だが、テントも張れないし、包丁も持てない、
おまけに火も扱えないので、改めて考えると適職であった。
サントリー角瓶で作ったハイボールを飲みつつ、ランタンの光の下で書く、俳句。
四方から迫る秋虫の声、見上げれば一面の星月夜。
そんな静かな夜を堪能していた。
その折、子供たちたっての希望で、夜半に出掛けた、近所の天文台。
駐車場から天文台まで、足元がライトアップされ、幻想的な長い木製階段があるのだが、
如何せん、酔っ払っている状況。
息も絶え絶えに、杖付いて帰って来る始末。
翌朝も快晴。
テントから出ると、カブトムシやらクワガタが、そこらに這って歩いている。
子供時分の私なら、目の色変えて、虫籠に捕獲しているだろう。
それにしても、今回、カブトムシやクワガタがそこらじゅうの木で、
容易に発見できたのには驚いた。
それだけ、自然が豊かなのだろう。
私に至っては今回、ほぼ手ぶらで参加したのだが、キャンプ玄人たちのお陰で、
非常に快適かつ美味しいひとときが過ごせた。
それが、句に詠み込めたかどうかは、いささか不安である。
しかし、総勢5名の子供たち、全身で遊び回っていた姿をみたら、
そんな事は瑣末な事は、どうでも良くなってしまった。
それよりも、子供たちが順番で打つ西瓜割りの方に、夢中であった。
帰り際、一緒にキャンプをした男の子から手渡された、メモ帳の切れ端。
そこには、よれよれの平仮名で書かれた、五・七・五。
その脇には、お父さん、否、お母さんの似顔絵であろうか、
ニッコリと笑っている顔が一つあった。