965声 ハイボールとランタン

2010年08月22日

かなかなの声に起こされたら、日暮れ。
どうやら、すっかり寝入ってしまった。
体の芯に色濃く残っているのは、疲労。
しかし、非常に心地の良い、疲労感である。
昨日、私が高山村の「みどりの村キャンプ場」へ着いた時刻は16時。
小一時間の遅刻である。
着いたらすぐに缶麦酒を開けて、3缶目を開ける頃には、
机の上には豪勢な夕食が並んでいた。
こう書くと、怠惰極まりない人間と言う印象だが、私もキチンと仕事をこなしている。
それは、「餃子の皮包み」と言う大役である。
その場は、オートキャンプ場のテントサイトだが、テントを張る人、
包丁を持つ人、コンロで火を起こす人。
これは皆、大人。
餃子の皮を包む人、これ皆、子供。
その中に、一人加わる大人が、私。
なんだか腑に落ちない仕事だが、テントも張れないし、包丁も持てない、
おまけに火も扱えないので、改めて考えると適職であった。
サントリー角瓶で作ったハイボールを飲みつつ、ランタンの光の下で書く、俳句。
四方から迫る秋虫の声、見上げれば一面の星月夜。
そんな静かな夜を堪能していた。
その折、子供たちたっての希望で、夜半に出掛けた、近所の天文台。
駐車場から天文台まで、足元がライトアップされ、幻想的な長い木製階段があるのだが、
如何せん、酔っ払っている状況。
息も絶え絶えに、杖付いて帰って来る始末。
翌朝も快晴。
テントから出ると、カブトムシやらクワガタが、そこらに這って歩いている。
子供時分の私なら、目の色変えて、虫籠に捕獲しているだろう。
それにしても、今回、カブトムシやクワガタがそこらじゅうの木で、
容易に発見できたのには驚いた。
それだけ、自然が豊かなのだろう。
私に至っては今回、ほぼ手ぶらで参加したのだが、キャンプ玄人たちのお陰で、
非常に快適かつ美味しいひとときが過ごせた。
それが、句に詠み込めたかどうかは、いささか不安である。
しかし、総勢5名の子供たち、全身で遊び回っていた姿をみたら、
そんな事は瑣末な事は、どうでも良くなってしまった。
それよりも、子供たちが順番で打つ西瓜割りの方に、夢中であった。
帰り際、一緒にキャンプをした男の子から手渡された、メモ帳の切れ端。
そこには、よれよれの平仮名で書かれた、五・七・五。
その脇には、お父さん、否、お母さんの似顔絵であろうか、
ニッコリと笑っている顔が一つあった。