4136声 BUNKA

2019年03月12日

せっかく東京さ来たのだからと銀座まで足を運ぶ。友人であるseki miraiさんのグループ展示と、太田市美術館・図書館の仕事でインタビュー撮影をさせていただいた岡村桂三郎さんの個展を見に行った。岡村さんの個展会場は、華やかすぎる銀座の通りにあって、奥1つ道を挟んだビルの地下にあるコバヤシ画廊。喧騒が届かない静かな部屋は小ぶりで、けれど毅然とした空気を持ち合わせていた。運良く岡村さんも在廊で、新作について話を伺うこともできた。

 

多摩美術大学の講師も務め、ふるいもの・みやびなものという僕の過去の日本画のイメージとは遠い独自の世界を描き続ける岡村さん。ここ十数年の作品は、バーナーで焦がした板に、木炭やへらを使って線を描く、なおかつその作品は背丈8メートルを超えるものもある!という凄まじい作品が多い。今回の展示では場所により作品は高さ2メートルほどなれど、前回平塚での個展ではなかった「変化」を施した作品もあり、常に自分を刷新していく凄みも感じた。日本画について無知な僕がそう感じるのだから、美術大学の学生等にとっては岡村さんは文字どおり巨大な壁なんだろうな。

 

帰りの電車では「タブーこそを撃て!原一男と疾走する映画たち」という極めてマニアックな本を読んでいたのだが、ドキュメンタリー映画における先駆者、小川紳介、土本典昭、この本の著者であり日本映画学校で僕も教わった原一男・・時代や社会と真っ向勝負を挑んだ文章が続く。映像を生業としはじめた、すみっこの僕には、リスペクトする先人たちが多すぎる。人生は短し、行く道の先は果てしなく長い。