4141声 かかってこいよ

2019年03月17日

ベテランの映画カメラマンと話し込む機会があった。僕は『ぐるりのこと。』や『恋人たち』で知られる橋口亮輔監督の映画がとても好きで、それはいわゆる社会的弱者と呼ばれる人たちを主人公とし、彼らの喜びよりはむしろ悲しみ、そこまで見せるかというつらい状況を描きながら、無根拠なハッピーエンドではなく、現実に起きそうなささやかな幸せを描くからだ。

 

「橋口監督は僕より年下だけど、僕は彼から映画を教わった」

 

そのカメラマンの言葉にグッときてしまった。映画監督とカメラマンの本気の共闘、時としてぶつかり合い、強い信頼が、時を経てもふるびない強度のある映画を作る。しんどい時の方が多いのだろうが、そんな関係性をうらやましくも思う。ただ同時に、その関係が成り立つには、たぶん1つの条件がある。それは、常に自分自身とも戦っているということ。