990声 その日のお天気

2010年09月16日

数日前から、この日刊「鶴のひとこえ」を更新する際に、
その日の「天候」を記する事にした。
それは、先日読んでいた、内田百?に関する、吉行淳之介が書いた随筆の一節による。
吉行淳之介が戦後、内田百?の戦時下に執筆された随筆を読んでいると、
そこに記されていた当時の天気が、
大いに記憶を喚起させた(ちと記憶が曖昧だが、おそらくそうである)。
と、言う一節。
因みに、吉行淳之介が育った麹町では、内田百?も暮らしていた。
つまり、お互い、同じ町内の住人だったのである。
或る日、吉行宅に届いていた新聞に、手書きのチラシが折り込まれていた。
その筆で手書きされた文面を読むと、猫を探しているらしい。
それは、百?が愛猫「ノラ」を探す為に書いたチラシだった。
と言うエピソードもある。
そうか、と思った。
私など、永井荷風の「断腸亭日乗」などを捲っていて、
時折、書かれているその日の天候描写を読むと、生まれる以前の出来事なのだが、
妙に近しい印象を受ける。
記憶で無く、想像力が喚起されるのであろう。
そんな事を考えていて、こうやって、折角毎日書いているんだから、
その日の天候くらい記しておこうと思い立った。
内容が薄いので、後から読み返した場合、天候くらいは役に立つのでは。
と言う腹積もりもある。
記載するのは、私が住んでいる、群馬県高崎市の天候であり、
もし出掛けた際には、その土地の天候と言う事になる。
しかし、いつまで続く分からぬし、読者も、殆ど群馬県内の人と推察されるので、
良しとする。
【天候】
終日、冷たい雨。
夕方に雨上がり、夜には虫が鳴いていた。