数日前から、この日刊「鶴のひとこえ」を更新する際に、
その日の「天候」を記する事にした。
それは、先日読んでいた、内田百?に関する、吉行淳之介が書いた随筆の一節による。
吉行淳之介が戦後、内田百?の戦時下に執筆された随筆を読んでいると、
そこに記されていた当時の天気が、
大いに記憶を喚起させた(ちと記憶が曖昧だが、おそらくそうである)。
と、言う一節。
因みに、吉行淳之介が育った麹町では、内田百?も暮らしていた。
つまり、お互い、同じ町内の住人だったのである。
或る日、吉行宅に届いていた新聞に、手書きのチラシが折り込まれていた。
その筆で手書きされた文面を読むと、猫を探しているらしい。
それは、百?が愛猫「ノラ」を探す為に書いたチラシだった。
と言うエピソードもある。
そうか、と思った。
私など、永井荷風の「断腸亭日乗」などを捲っていて、
時折、書かれているその日の天候描写を読むと、生まれる以前の出来事なのだが、
妙に近しい印象を受ける。
記憶で無く、想像力が喚起されるのであろう。
そんな事を考えていて、こうやって、折角毎日書いているんだから、
その日の天候くらい記しておこうと思い立った。
内容が薄いので、後から読み返した場合、天候くらいは役に立つのでは。
と言う腹積もりもある。
記載するのは、私が住んでいる、群馬県高崎市の天候であり、
もし出掛けた際には、その土地の天候と言う事になる。
しかし、いつまで続く分からぬし、読者も、殆ど群馬県内の人と推察されるので、
良しとする。
【天候】
終日、冷たい雨。
夕方に雨上がり、夜には虫が鳴いていた。