1003声 鶴のひとこえ1000声記念企画 〜クレインダンス対談〜 第4回(全5回)

2010年09月29日

■クレインダンス対談 第4回
対談:堀澤宏之×抜井諒一
撮影・お給仕:T女史
偶然ゲスト:M先生
場所:ほのじ(伊勢崎市)
〜裏口から、フラリとM先生(既にほろ酔いで、稲荷寿司を持って)登場〜
堀:(酔眼、飛び出そうに驚いて)あっ、先生だ!!こんばんは。
抜:こんばんは。
M先生:わんばんこ。はい、これ「ワイン塩」。諸君等は知らないでしょ。
一同:はい。
M先生:(テーブルの皿を見渡して)芋は塩だよ。そして、シメに※「モリファツァー」と「hugo&victor」でやろう。
堀:ついさっき、先生の噂してたんですよ。
M先生:あっ、そう。そう言えば、この間、チェンダオに行って来たんだよ。
〜旅行譚から善と悪の話に至り〜
ゲーテのな、ファウストを読んで、その、つまりメフィストも神の使いなんだよ。
堀:その、メ…なんとかってなんですか。
M先生:「メフィスト」って、悪魔。俺はゲーテが好きでな。つまり、メフィストフェレスって「悪魔」も「神」の使いなんだよ。
堀:はぁ、悪魔も神の使い。
M先生:まぁ、俺は色々あってこうなっちゃったけどな。
一同:(笑)
M先生:プライーベートでは最近、和服を着てるんだけど。三亀松ってのが、俺の「粋」の師匠なんだけど。
抜:えっ、「みきまつ」って、あの「柳家」の…ですか。
堀:抜井、聞け聞け。
M先生:そうだよ。ガキの頃、親父に連れられて会ってな。こう言われたんだよ、
「坊ちゃん、大きくなったら、社長とか先生とか言われる人になっちゃいけません。旦那と呼ばれる人にならなくっちゃ」
抜:ほーう。
堀:先生それ、どこで言われたんですか。
M先生:新橋。新橋の新喜楽って料亭。
抜:それは先生、いつ頃の話ですか。
M先生:幼稚園。あがる前ぐらいかな。
堀:幼稚園上がる前に、三亀松から、「旦那」。
一同:(笑)
〜たしかめる事は、人間的でない〜
M先生:小学校の時は100点取らないようにしよう、って。
堀:それは、どう言うことですか。
M先生:人間ってのは間違いをする。
だから、テストの時は、上から下まで、パァーっとやったら、スィーっと帰っちゃう。
堀:わざと?
M先生:わざと、じゃない。普通に、一回やったら見直さない。
抜:それで、どこか間違えているだろう、と踏んで。
M先生:間違えている事が人間的なんだ。100点を取るってのは、おかしい。
一同:(感心して)はぁー。
M先生:100点を取ろうとすると、一回やってまた見直して、2回目もまた見直して。
それは、意味がない。確かめる、って事は人間的でない。
そう思ってたから、一回やったら、直ぐ帰る。俺は一回も見直した事が無い。
抜:(腑に落ちぬ表情で)左様、ですか。
M先生:そう。問題に対して、間違っているかどうかなんて、考えてる事がよくない。
その恐怖心が、精神的に良くないんだ。だから、見直さなかった。
堀:聞けば聞くほど、すごい。
M先生:すごくない。普通だよ。間違えるってのは、人間的なんだよ。
それを許容できないのは、おかしい。
だから、100点を取るためだけに努力する、ってのは絶対におかしい。
抜:確かめても、間違いだらけだったな…。
先生の話。
それはまるで、イリュージョンショーを見ているかのよう。
しかし全部、タネあかしの無い、本当の話。
そして、いよいよ明日は、最終回。
※補足
「モリファツァー」ってのは、中国のお茶。
「hugo&victor」ってのは、パリで流行しているチョコレート。
先生から何度も聞いたが、私には発音さえ覚束ない(発音あってるかな)、逸品。