1004声 鶴のひとこえ1000声記念企画 〜クレインダンス対談〜 第5回(全5回)

2010年09月30日

■クレインダンス対談 第5回
対談:堀澤宏之×抜井諒一
撮影・お給仕:T女史
偶然ゲスト:M先生
場所:ほのじ(伊勢崎市)
〜話は現内閣、つまり政権の中枢に至って〜
M先生:今、S(閣僚の方)に電話してみようか。
一同:(必死で)いや、勘弁して下さい!
M先生:ちょっとこれ、ワイン塩、パイナップルに付けて食ってみ。
抜:はい。(一口食べて)うん。
M先生:甘みを引き立てるか。
抜:いや、全く。全く、あいません。
M先生:そうか。(一口食べて)駄目だな。全くあわない、と言う事が分かった。
それが、その「分かる事」が、大切なんだ。
物にも「五行陰陽」がある。
抜:先生、ちょっといいですか。
M先生:うん、なんだ。
抜:先生は川端康成に会った事がある。ってのは本当ですか。
M先生:いや。会った、んじゃなくて、骨董仲間だよ。
抜:(目玉が半分飛び出しつつ)えーっ。
M先生:あるよ、買った物が。
堀:抜井、この機会だから、聞きたい事は聞いといた方がいいよ。
抜:じゃあ、先生は、あの、佐藤春夫にも…。
M先生:うん、知っとるよ。しかし、佐藤春夫とは、おまえもメランコリックなヤツだな。
抜:(苦笑)
小林秀雄が借りてた別荘に、佐藤春夫とか鈴木大拙とか来ててな。
そこにガキの頃、居た事があった。
抜:はぁ(絶句)
M先生:俺は、色々な人に会ったけど、小林秀雄はうん。やっぱり、頭良いね。
そう、小林秀雄は俺は、今際の際にいたんだ。
堀:嘘のような本当の話ですね。
M先生:そう、今、一番幸せなのは誰か知ってる。
抜:分からないです。
M先生:(元総理の)H氏だよ。信楽で仏像造っちゃうって発想が良いな。
堀:信楽の土で、ですか。
M先生:焼き物の信楽で、だよ。じゃあ、一寸、モリファツァー飲んでみよう。
〜T女史に、茶器等を一式用意して頂いて〜
M先生:これは、一煎目から飲んでいいから。じゃあ、チョコをレディーファーストで。
T女史:じゃあ、赤いの。(一口で食べて)うん、フルーティー。
M先生:カカオマスの味が、ちゃんと残るでしょ。
T女史:うん。あっ、美味しい。
一同:じゃあ、一個づつ、食べましょう。
M先生:あなたは女性だから、もう一個いいよ。
抜:あっ、ズルイ。
M先生:このお茶はな、一煎ずつ、変わって来るから。
〜チョコとお茶を味わい、しばし沈黙〜
T女史:美味しい。
堀澤:うん、美味い。
抜:うん、美味いけど分からないなぁ。分からん。
堀:酒を飲んだ後に、茶を飲む習慣がないからじゃない。
M先生:だからな、お前は俺の歳に近づいたら、きっと、気付く。
お前の言ってるのは、渋いんだよ。渋いって感じが、美味くないんだ。
抜:はい。
M先生:文化がだんだん爛熟してくるとな、厭な味が、その、納得できるようになる。
抜:じゃあ、全然、僕は爛熟してない(笑)
M先生:ほら、このチョコレート。
だんだん、カカオマスの香りが強くなって、その消える余韻を楽しむ。
チョコレートも必死に作れば、これくらいになる。
まさに、「本」なんだよ。
(実際、「hugo&victor」のケースは本のようになっている)
抜:はぁ、本ですか。
M先生:この「モリファツァー」と「hugo&victor」を食べてな。
「一生懸命生きなくっちゃいけない」
と言う気持ちに、少しでもなる事が、大切なんだよ。
この後、話と酔いは更に深くなり、机上を舞う会話は、
モリファツァーの馥郁たるジャスミン香りと共に漂っていた。
まるで、夢。
のようなひとときを過し、途中から、対談である事も忘れていた。
夢から覚めれば、待っているのは現実。
それでは明日からも、日刊「鶴のひとこえ」で。