「茅葺」
と書いてみて、こう言う漢字を書く事を、恥ずかしながら初めて知った。
これで、「かやぶき」と読む。
あの、かやぶき屋根の「かやぶき」である。
古くは縄文時代の竪穴式住居であったり、江戸時代の農家であったり。
現代では稀になってしまったが、県内でも、
主に養蚕農家などでかやぶき屋根の家が見られる。
集落としては、岐阜県の世界遺産である、
「白川郷・五箇山の合掌造り集落」が有名である。
そのかやぶき屋根の家を、中之条町に建てよう。
ってな事をやっているのが、ほのじ氏。
「中之条に家建てようと思うから、抜井もまぁ、ひとつ手伝ってよ」
「分かりました、で、あたしゃ何やりゃ、いいんです」
「今度、みんなで草刈りに行くから、鎌持って来て」
「あいよ」
その草刈りの日が、今日だった。
「草刈り」ってから、私はてっきり、住居建築予定地の除草作業だと思い込んでいた。
しかし、着いた先は、一面のススキ畑。
十五夜はもう大分過ぎてしまったが、お月見とは風流な。
などと思っていると、周りの人たちはそそくさと着替え始めて、
長靴とジャージに首巻タオル。
そう、この「草刈り」ってのは、かやぶき屋根に使う「かや刈り」の事だったのだ。
根元から2,3cmの所を、鎌で鋭角的に刈って行く。
じゃあ、ってんで刈ろうとすると、鋭角的に飛び込んできた声。
「おまえそれで刈るの」
「えっ、はい、草刈りに役立ちそうなものがこれしかなかったんで」
「それは、おまえ、枝切りばさみだろ」
私が持って行った、枝切りばさみで一本ずつ切ってたんじゃ、
確かに日が暮れてしまう。
本職の方も来ていらして、鎌一本で短時間の間に、
山のようにかやを刈ってしまった技には驚いた。
私はもっぱら、かやを集めて紐で縛る。
と言う作業にやり甲斐を見出し、一心不乱に縛り上げていた。
家が建ったら、囲炉裏で燗でもつけてみようか。
ともあれ、未だ先は長そうである。
【天候】
朝、薄曇り、後、爽やかな秋晴れ。
終日、風も無く、穏やかなり。