漫然と過している日々の中でも、気付けば、自分の居やすい場所の方へ足が赴く。
水が低きに就くが如しで、自然とそうなってしまう。
と、自分が居ずらい場所へ行った時に、そう感じるのである。
平日の昼時。
私が居るのは、何の変哲も無い、ファミリーレストラン。
座っているのは、禁煙席。
しかし、通路を隔てた向こう側の席から、
モクモクと渦巻く紫煙が押し寄せているではないか。
横目で見ると、ちと異様な光景に、一瞬、釘付けになった。
座っているのは、子連れの若いお母さん。
年の頃、20代中頃と言ったあたりで、子供は4、5歳。
それが、携帯電話を横向きにテーブルに立て、ワンセグを視聴しているのである。
バラエティー番組(笑っていいともであろうが)特有の観覧席からの笑い声が、
店内に響いている。
その画面を眺めつつ、お母さん、煙草を吸っているのだ。
問題は、その吸い方。
煙草の煙を吸引し、吐き出す時に携帯電話掛からぬよう、
唇の左を開けて左側に煙を出している。
そこには、子供が居るではないか。
お母さん、どうやらワンセグに夢中。
すると、私の隣の席で、和風ハンバーグランチを食べている、
ネクタイ締めたおやっさん。
深いため息何度もついて、何やら、憤慨しているようで、
さっきら一向に落ち着かない。
「そうだ先輩、注意してくれ。あくまで、やんわりと」
などと、期待を託して自らの注文品を待っていると、そのおやっさん。
ツーッと一気に水飲んで、もはや猟奇的に青ざめて引きつった顔をさげて、
行ってしまった。
早足のおやっさんとすれ違って、先程のウェイトレスが、
和風ハンバーグランチを私のテーブルへ運んで来た。
向かいのお母さんは、依然として美味そうに煙草を吸っている。
さっきのおやっさん。
さては、先頃の煙草増税に伴う、禁煙組だったのであろう。
食後に向かいの席の状況を目の当たりにしたら、そら、顔も猟奇的に引きつる。
ウェイトレスがまた戻って来て、空になっている私のコップに、荒々しく水を注いだ。
【天候】
終日、穏やかなる晴れ。
気温は温暖で、半袖で心地好い。