1011声 低きに流れる

2010年10月07日

漫然と過している日々の中でも、気付けば、自分の居やすい場所の方へ足が赴く。
水が低きに就くが如しで、自然とそうなってしまう。
と、自分が居ずらい場所へ行った時に、そう感じるのである。
平日の昼時。
私が居るのは、何の変哲も無い、ファミリーレストラン。
座っているのは、禁煙席。
しかし、通路を隔てた向こう側の席から、
モクモクと渦巻く紫煙が押し寄せているではないか。
横目で見ると、ちと異様な光景に、一瞬、釘付けになった。
座っているのは、子連れの若いお母さん。
年の頃、20代中頃と言ったあたりで、子供は4、5歳。
それが、携帯電話を横向きにテーブルに立て、ワンセグを視聴しているのである。
バラエティー番組(笑っていいともであろうが)特有の観覧席からの笑い声が、
店内に響いている。
その画面を眺めつつ、お母さん、煙草を吸っているのだ。
問題は、その吸い方。
煙草の煙を吸引し、吐き出す時に携帯電話掛からぬよう、
唇の左を開けて左側に煙を出している。
そこには、子供が居るではないか。
お母さん、どうやらワンセグに夢中。
すると、私の隣の席で、和風ハンバーグランチを食べている、
ネクタイ締めたおやっさん。
深いため息何度もついて、何やら、憤慨しているようで、
さっきら一向に落ち着かない。
「そうだ先輩、注意してくれ。あくまで、やんわりと」
などと、期待を託して自らの注文品を待っていると、そのおやっさん。
ツーッと一気に水飲んで、もはや猟奇的に青ざめて引きつった顔をさげて、
行ってしまった。
早足のおやっさんとすれ違って、先程のウェイトレスが、
和風ハンバーグランチを私のテーブルへ運んで来た。
向かいのお母さんは、依然として美味そうに煙草を吸っている。
さっきのおやっさん。
さては、先頃の煙草増税に伴う、禁煙組だったのであろう。
食後に向かいの席の状況を目の当たりにしたら、そら、顔も猟奇的に引きつる。
ウェイトレスがまた戻って来て、空になっている私のコップに、荒々しく水を注いだ。
【天候】
終日、穏やかなる晴れ。
気温は温暖で、半袖で心地好い。