4258声 地方と東京

2019年07月13日

「地方」のものを「東京」で売る必要がない時代。

 

典型的な地方である中之条町の野菜や加工品を東京のどまんなか新宿ルミネゼロで販売する「旅ルミネ meets 中之条」に参加している。

 

頻度は多くないが東京へ行くと、「◯◯ランキングNo.1スイーツ」的な販売ブースに行列ができているのを目にする。否定するつもりはないが、誰が何を使ってどのような気持ちで作ったかわからないが(販売しているバイトさんも知らないかも)「売れているから、行列ができているから買おう」という気持ちがさらに行列をつくる。それを見る度に、ひねくれた僕は「錬金術だ」と一人呟く。

 

また、「群馬の名物を東京で売ろう」と冠をつけると、商品・販売店のそれ相応の知名度/定期流通のための大規模展開/イベント出店もできる余力がどうしても必要になる。それができる生産者・加工者はその道を行っていただくのが良いのかもしれないが、小さな、特に中之条町のような地方だと、「東京の2日間のイベント」でさえも出店者を集めることは容易ではなかったと思う(僕自身、ジェラートや魚の販売で7年くらいイベントに出店しまくったので、大変さの実感もある)。そもそも、自分の店や畑を空けられない人も多いしさ。

 

では、そんな無理をしてまで「地方」のものを「東京」で売る必要はあるのだろうか?

 

 

「旅ルミネ meets 中之条」に関わった皆さんが出した回答は単純明快。「やれる範囲でやろう」「むしろ、東京の人に地方に行って買ってもらおう」ということである。目玉となっている「中之条プレート」には金幸・くれない・山幸(野のや)・キッチンさいとう・つむじカフェといった複数の店舗が、現場には来れないお店も含め1品ずつおかずを出し合い提供している。なんなら、中之条町の物産のみではなく、群馬助け合いじゃないけど、榛名や高崎のセレクトされた陶芸やアクセサリー、書籍なども販売している。

 

なにより、このイベント後の「ツアー」や「中之条町の◯◯さんのお願いを聞いてみよう伝言板(伊参スタジオ映画祭は当日ボランティアを募っています)」、計4組のディープなトーク(今日13時からは篠原哲雄監督に来場いただき伊参スタジオ映画祭の話をします!)も含めて、「購入人口」ではなく「交流人口」を増やすことに重点を置いている。

 

つまりは、「無理をしながら地方のものを東京で売るのではなく、関係性を作って東京の人に地方に来てもらおうよ」という提案である。

 

それって、必要な未来じゃないですか?

 

昨日1日だけでも「東京に住んでるけどおばあちゃん家が中之条なんです」とか「山形に住んで町おこしに苦戦してるんですけど中之条ってすごいから勉強に来ました」という人たちと出会えた。よい経験をさせてもらっている。