1017声 読書漫筆「女湯に浮かんでみれば」

2010年10月13日

自分の本を買ってくれたお返しに、相手の本を買った。
ってのも何だかややこしい話だが、先日の銭湯ナイトにおいて、
そう言う経緯で購入して来た本が、一冊。
『女湯に浮かんでみれば』堀ミチヨ著(新宿書房)、である。
都内の銭湯情報に疎く、この本の存在を会場で初めて知った。
帯に一番大きく書いてある惹句、「東京、女、風呂ナシ。」に、どこか魅かれた。
先程読了し、女湯はやはり未知の世界と言う実感を再確認し、
銭湯の物語は女湯にこそあるのではないか、とも感じた。
この本はエッセイである。
10年程前、京都の銭湯でその面白さを体感し、銭湯に目覚めた著者。
北アフリカのチュニジアに留学していた時分、授業において、
「ハンマーム(アラビア語で公衆浴場)と銭湯の比較」と言うレポートを製作した。
それを機に、本格的に銭湯への興味を深めて行く事になる。
その後、日本へ帰国し、「風呂なし=銭湯通い」の生活を始めた著者。
土地土地の銭湯から、また、その女湯で出会った、様々な人間模様の中で、
「女としての生き方」と向き合う。
時代の中で消えゆく銭湯を憂いながら、銭湯のある豊かさを説く。
とまぁ、これは書評で無くて、単なる私なりの内容紹介である。
若輩の私が言うのもおこがましいが、著者も30代と言う、若い世代。
銭湯華やかなりし時代に生まれた世代でなく、
銭湯が衰退の一途を辿っている時代に、生まれた世代だ。
そんな謂わば、銭湯非日常世代の著者と、
銭湯日常世代である、常連客との触れ合いが面白い。
そして、銭湯フリークならば頷けるエピソードが多数ある。
女湯の人間模様を読んでいると、つくづく、男湯の方が断然に気楽。
だと感じ、「女ってぇのも、大変だな」、とも感じた。
【天候】
朝、薄曇り。
午後から晴れて、気温が上がる。
夜半に雷と強い雨が降ったが、直ぐに遠くの桑原に行ってしまった。