機械音痴。
と言う訳でもないのだが、機械を前に、冷汗三斗で小銭を握りしめていたのは、
つい先日の晩。
その場所は、何の変哲もないチェーン店のラーメン屋である。
その店の注文システムは、食券販売機で食券を買う、と言うもの。
という事実が分かったのは、私がカウンター席に座った瞬間。
店員が、メニューを探している私に向かって、極めて無愛想に、
「あっ、食券買ってくださーい」
と、指摘したのである。
慌てて私、入り口横の食券販売機まで戻って、ラーメンを選んだ。
選んだ、のだが、メニューが複雑で、少々モタついてしまった。
そこに、入口が開いて、入って来たのは、二人組の兄ちゃん。
私は急激に慌てふためきつつ、もう半ば前後不覚になり、
千円札を突っ込んでボタンを押した。
「ポトリ」
と落ちて来た食券の紙を握りしめ、一安心。
先程の店員に差し出し、漸くラーメンを注文する事ができた。
「麺のかたさは」
「あーっ、ふと、いや、ほそっ、じゃなくて、ふ、ふつーで」
「スープは」
「えっ、あっと、うぅ、ふ、ふつーで」
食券を出してからも、細かにラーメンの仕様を選べるシステムだったのだ。
私のような、注文システムを理解していない一見客が多数来るのか、
店員は慣れたあしらい方で、「めんどくせぇなぁ」と言う表情を隠していなかった。
やっとの思いで、今度こそ注文を終えた私、気付けば体には濃い疲労の色。
そそくさとラーメンを啜って、店を後にした。
私が店を出る時、
「ありがとうございました」
ってな店員の言葉は、レジで会計しないので、勿論無い。
それが、この店のシステムなのだ。
これが話の粗筋。
明日は、私の感想を記して締め括ろう。
【天候】
終日、曇り。
雲間から薄日の射す、穏やかな日。