1019声 機械仕掛けの街 後編

2010年10月15日

衛生的かつ効率的。
確かに、食券販売機を導入すれば、店舗にもたらされる利便性は少なくない。
近年では、店員が小銭を触る事を嫌がるお客や、
店員と会話せずとも注文できる食券を、望んでいるお客も多くなっている。
現に、私の友人にも、一人か二人思い当たる節がある。
その友人たちは、煩わしさを排除し、徹底的に効率化を図った、
ファーストフードを好む。
いや、ファーストフードは私だって好きでよく利用する。
好むのではなく、消去法で店を選べば、好まざるを得なくなってしまったのだ。
そして、十中八九、個室好きだ。
知らない人が直ぐ横に居る、カウンター席など以ての外。
「機械仕掛けの街」
なんて表題の下、この現代の風潮を批判しようなんて気持ちは、
今再度、胸に手を当てて考えてみたが、見当たらない。
寂しい、とは思うが。
衛生的で効率的な事は、とても良い事だと思うし、
少しぐらい衛生的で効率的でなくとも、良いとも思う。
煩わしくないのが良い時もあるし、煩わしさを求めている時もある。
つまり、混在していて良いと思う。
私の事なので、例えはやはり銭湯でしてみる。
仲間連中や、親族家族などの団体で行く時は、
郊外に在る、大きくて近代的なスーパー銭湯を利用するのが適当、だと思う。
友人と連れ立って、はたまた一人でふらりと行く時は、
横丁に在る、小さな懐古的銭湯の暖簾をくぐった方が、断然に愉快だ。
どちらかを駆逐しちゃあ、まずい。
「私は一切、外湯はしません、湯船にも浸かりません、シャワーで一生過ごします」
私たちの後世が、そう言う人種になってしまう日が来るかも。
日本、なのにね。
【天候】
終日、曇り。
薄日の射す、穏やかな日なり。