4336声 8)写真

2020年03月08日

写真と動画は別物だ。当たり前だと言う人もいるだろうし、似たようなものじゃないのという人もいるだろう。

 

数年前から、動画の撮影を、いわゆるビデオカメラからフルミラーレスカメラに変えた。sonyのα7Ⅲ。panasonicのGHシリーズと並び、動画撮影に向いたカメラだ(なんかセールストークみたいだな)。

 

ビデオカメラはそれこそ17歳の頃から親父のものを無断で借りたりしていじってきたが、実はカメラを自分で買うのは初めて。動画メインで使用しているが、自然と写真も撮るようになった。動画では基本、画のつながりを考えながら撮る。まず全体があり、顔のアップがあり、とか。写真もそういう撮り方はできるが、基本は1枚(1瞬)で何を残せるかだ。カメラの種類や技術・・いい写真を撮るためには色々な条件があるが、やはり一番重要なのは「撮りてのまなざし」である気がする。

 

太田市美術館・図書館で、展示の写真記録や図録の写真撮影をしている写真家の吉江淳さんと飲む機会があった。初対面ではあったが、牛腸茂雄というカメラマンのドキュメンタリー『self and others』はすごいという話で盛り上がれたのが良かった。牛腸茂雄の写真には、記念写真のような被写体がこちらを向いている写真1つをとってみても、不思議な非現実感が漂っている。でも、映えるとか、作家性が強いというものでもない。彼のことを指して「人の無意識を撮る写真家だ」というような評を読んだ記憶があるが・・うまく言葉で説明ができない。

 

吉江さんは、地元太田市などで無人の風景を撮る作品を展開している。それもやはり、映えるとか、作家性が強いというものでもないように思う。寂しいようであり、優しいようであり、その場所を見たこともないのに、どこか心にひっかかる風景だ。吉江さんとはSNSで繋がった。ある日彼がお子さんの入学式の日に、家の近所と思われる場所で撮ったお子さんの写真をSNSに上げた(多分コロナの影響で、式が短縮かなにかだったのだと思う)。それもまた、絶妙に良い写真だった。

 

・・わかった、良い写真はうまく言葉にできない。だから写真作家たちは、写真を撮るのだろう。